新・極道の妻たち 覚悟しいや
1993年公開の映画『新・極道の妻たち 覚悟しいや』は、岩下志麻主演の人気シリーズ「極道の妻たち」の第10作目です。物語は、千之崎組を舞台に、組長の妻である銀子(岩下志麻)が組織内外の抗争や陰謀に立ち向かう姿を描きます。組長・万乃助(梅宮辰夫)を支える銀子は、組織の危機に直面しながらも強い意志と覚悟で困難を乗り越えていきます。組長の弟・修平(草刈正雄)とその妻・佳代(かたせ梨乃)との家族関係や、若き組員・常石力男(成田昭次)の成長も物語の重要な要素となっています。組織内の権力争い、家族の絆、そして任侠の世界で生きる人々の覚悟と誇りを描いた作品です。
キャスト
- 岩下志麻(千之崎銀子)
- 梅宮辰夫(千之崎万乃助)
- 草刈正雄(千之崎修平)
- かたせ梨乃(千之崎佳代)
- 中条きよし(北見英彰)
- 多岐川裕美(北見律子)
- 成田昭次(常石力男)
- 名取裕子(石田美咲)
- 志賀勝(沢井健)
- 岡崎二朗(中村)
- 矢吹二朗(高木)
- 丹波哲郎(大島和夫・特別出演)
常石力男 役:成田昭次
成田昭次が演じる常石力男は、千之崎組の若い構成員で、任侠精神を持つ組長・万乃助(梅宮辰夫)に深く憧れています。ある立ち退き運動の最中、住民の前で万乃助を勇気づける言葉を叫び、警察に取り押さえられるという熱い行動を起こします。この行為が万乃助の目に留まり、組内での地位も上がり、舎弟を持つまでになります。普段は威勢が良く気性が荒い一方で、一般人には穏やかに接する人情味あふれるキャラクターです。物語では、万乃助の自宅から出てくる不審な男を発見し、一悶着を起こすなど、組織と家族を守るために活躍します。
制作情報
- 初回公開日:1993年1月30日
- 制作:東映
- プロデューサー:日下部五朗、佐藤雅夫
- 監督:斎藤光正
- 脚本:高田宏治
- 上映時間:116分
- その他:配給—東映、シリーズ第10作目
常石力男。千之崎組の組長、万之助の生き方を尊敬している若き極道…。『新極道の妻たち/覚悟しいや』(93年1/30公開)が昭次、4年ぶりの映画だ。
「話があったのが7月、ツアーの最中だった。すごく悩んで、台本を何度も何度も読んだんだ。そしたら、常石力男の生き方に惚れちゃってさ。こんな男になりたいと思うと同時に、この役を他の誰にも渡したくないと思って、出演を決めたわけよ」
共演は、組長に梅宮辰夫さん、その妻であり、この映画の主役に岩下志麻さん。組長の弟に草は草刈正雄さん、その妻にかたせ梨乃さんと映画界の大先輩がズラズラ。そうそうたるメンバーだ。
「俺、この映画の出演が決まって共演の人たちや、監督に挨拶してる時、ああ、俺は芸能界にいるんだって、じみじみ思ったよ。それまで、男闘呼組の仕事と自分の音楽活動しかやってなかったから、芸能人だってこと、すっかり話しれてたけど、この映画に出演することで、自分のポジションを改めて認識した気分だな。映画では新人だから、しょっちゅう怒られるけど、これがまた気持ちいい。こんなに色々言われることって滅多になかったし、言いたいこと言い合って、みんなで一つの映画を作り上げてゆく感じが好きなんだ。ほんといい経験だよ。」
日本刀、拳銃の見せ方、他と周り勉強になることがたくさんあり、また新しい出会いもあり、昭次にとっては、目の覚めるような経験だったに違いない。でも何故4年も芝居から離れていたのだろう。
「はっきり言って、演じるってことに照れがあったんだよ。以前は役に入り込めないで、我に帰りっぱなし。恥ずかしいなあと思いながらやってたからさ。それで俺には向かないと決め込んで、離れて、自分の殻に閉じ籠もっていたのかもしれないな」
しかし音楽を追求し続けた、今までも否定はしていない。
「表現力がついたと思うし、蓄えられたことがたくさんある。でもよく考えると、表現するってことは、手段の違いはあるけど、音楽も芝居も同じなんだよな」
ミュージシャンが映画に出ると役者にも力を入れ出したと思われがちだが、それは心外だと昭次はいう。
「自分がやりたいと思う仕事を選んだ。その結果が映画だっただけ。別に区別して考えてないから」
成田昭次の才能が、殻を破って出てきただけのことなのだ。
撮影が終了して戻ってきた昭次は「演技してる時って、考えちゃダメなんだ。どう動こうと考えたら、なりきれてないってことなんだ。チキショー、俺今一瞬、考えちゃったよ」常石から昭次に戻って、頭を抱える。こんなふうに悩みながら、自分と戦いながら、昭次は映画に取り込んでいたのだ。